シナリオ「はりぼて代表取締役」
なちげ
〇京都会館、外
『バトントワラー京都大会』の垂れ幕
〇同、第一ホール、内
バトンの団体演技中である。
ナチが中央にいて見事なフィニッシュ。
大拍手の観客の顔。
〇同、楽屋控室、内
数人のバトン部員が話している。
友人1「ナチ、よかったやん。ぐー!」
ナチ「一回も落とさへんかったからね。ラッキー」
友人2「優勝したら全国大会、東京やね」
ナチ「そうや優勝したら東京や。えらいこっちゃ」
友人1「なんでやのん?」
ナチ「今うちのお店潰れそうなんや。潰れてしもたら
東京どころか大学も無理や」
友人2「そや、今ぎょうさん潰れてんで、夜逃げやら、
首つりやらなんやらかんやら大変やで実生活は」
ナチ「そやねん、そやからうちバイトしてお金貯めてるねん」
友人1「えらいなあナチゲは」
友人2「他人事やないであんたんとこも」
友人1「そ、そやな」
〇京都会館、入り口
バトンを片手に制服姿でナチと友人たちが出てくる。
友人1「残念やったなあ」
友人2「また今度がんばろな」
ナチ「がんばろな!」
手を振って別れる3人
〇マンション、408号室、内、夜
静子、夕食の仕事をしている。
松平、仏間で祈っている。
玄関の扉が開きナチが帰ってくる。
ナチ「ただいまー」
静子「おかえり、大会どうだった?」
ナチ、靴を脱ぎながら、
ナチ「今年も第三位。1回も落とさんかったのに残念やわ」
ナチ、居間を横切り自分の部屋に入りながら、
ナチ「そやけどええねん。全国大会やったら東京に行かな
あかんし、いまうちんとこ大変なんやろ?」
静子、聞いていない。鍋をテーブルに移しながら、
静子「山ちゃん結婚するんやて!この秋にまりっぺ連れて
島根に帰ることになったんや」
ナチ「え、ほんま?」
ナチ、着替えて居間に出てくる。
ナチ「ねえねえ、どこで式上げんの?」
静子「春に島根で式上げてその後京都でお披露目会やて」
ナチ、手伝いながら、
ナチ「すごいやん。結婚やて。まりっぺ思い切ったなあ。
田舎暮らし大変やと思うけどな」
静子「こまめにこっちへ帰ってくるんやて」
ナチ「そやろな。うちやったら耐えられへん」
奥の仏間で松平はずっと祈っている。
金吾が帰ってきて一家団欒夕餉のひと時。
ナチのN「楽しい家族やのにいつも何かが欠けている。
そうやお金や。2年前に家族で上海に行った。
クレジットで分割払い。そのお金も払えんと言って
父は困っていた。残念この年頃に不景気が重なってもた。
それでも父は進学しろという。推薦もらえるやろか?
それよりお店大丈夫やろか?私にできることを全力で
やろう。そや、バイトやバイトや」
『バトントワラー京都大会』の垂れ幕
〇同、第一ホール、内
バトンの団体演技中である。
ナチが中央にいて見事なフィニッシュ。
大拍手の観客の顔。
〇同、楽屋控室、内
数人のバトン部員が話している。
友人1「ナチ、よかったやん。ぐー!」
ナチ「一回も落とさへんかったからね。ラッキー」
友人2「優勝したら全国大会、東京やね」
ナチ「そうや優勝したら東京や。えらいこっちゃ」
友人1「なんでやのん?」
ナチ「今うちのお店潰れそうなんや。潰れてしもたら
東京どころか大学も無理や」
友人2「そや、今ぎょうさん潰れてんで、夜逃げやら、
首つりやらなんやらかんやら大変やで実生活は」
ナチ「そやねん、そやからうちバイトしてお金貯めてるねん」
友人1「えらいなあナチゲは」
友人2「他人事やないであんたんとこも」
友人1「そ、そやな」
〇京都会館、入り口
バトンを片手に制服姿でナチと友人たちが出てくる。
友人1「残念やったなあ」
友人2「また今度がんばろな」
ナチ「がんばろな!」
手を振って別れる3人
〇マンション、408号室、内、夜
静子、夕食の仕事をしている。
松平、仏間で祈っている。
玄関の扉が開きナチが帰ってくる。
ナチ「ただいまー」
静子「おかえり、大会どうだった?」
ナチ、靴を脱ぎながら、
ナチ「今年も第三位。1回も落とさんかったのに残念やわ」
ナチ、居間を横切り自分の部屋に入りながら、
ナチ「そやけどええねん。全国大会やったら東京に行かな
あかんし、いまうちんとこ大変なんやろ?」
静子、聞いていない。鍋をテーブルに移しながら、
静子「山ちゃん結婚するんやて!この秋にまりっぺ連れて
島根に帰ることになったんや」
ナチ「え、ほんま?」
ナチ、着替えて居間に出てくる。
ナチ「ねえねえ、どこで式上げんの?」
静子「春に島根で式上げてその後京都でお披露目会やて」
ナチ、手伝いながら、
ナチ「すごいやん。結婚やて。まりっぺ思い切ったなあ。
田舎暮らし大変やと思うけどな」
静子「こまめにこっちへ帰ってくるんやて」
ナチ「そやろな。うちやったら耐えられへん」
奥の仏間で松平はずっと祈っている。
金吾が帰ってきて一家団欒夕餉のひと時。
ナチのN「楽しい家族やのにいつも何かが欠けている。
そうやお金や。2年前に家族で上海に行った。
クレジットで分割払い。そのお金も払えんと言って
父は困っていた。残念この年頃に不景気が重なってもた。
それでも父は進学しろという。推薦もらえるやろか?
それよりお店大丈夫やろか?私にできることを全力で
やろう。そや、バイトやバイトや」