私の王子様
「この傷は…僕が子供の頃…あいつに付けられたんだ」
あたしは、自分の心臓の音が聞こえそうな位ドキッとした。
…まさか…
「あいつっ…て?」
タロウは目線をあたしの左手の小指に向けた。
…マサトに貰った指輪を見ている。
「…嘘…でしょ?」
「……信じられないなら、それでもいいよ。だけど、僕もハルカが大事だから…あいつと付き合ってるのは正直…心配なんだ。」
タロウが嘘をついているようには見えなかった。
かと言ってマサトがそんなコトをするとも考えられない。
…だけど、シャツの隙間から覗いた傷は、余りに生々しくて…。
気が付くとあたしは泣いていた。