私の王子様


あたしは、どうしたらいいのか解らなかった。


タロウに何て言葉をかければいいのかも…解らなかった。


ただただ、泣いていた。


「泣かないでハルカ。こんなの…見せたくなかったけど…。卑怯かもしれないけど…。もしあいつのせいでハルカが危険な目に合うなんてことがあったら…辛いから。」


タロウ…。


そんなにあたしのこと心配してくれるなんて…。


「あたし、明日泊まりに行くのは辞めるよ。マサトとは…後でちゃんと話してみる。…言いづらいこと言ってくれてありがとう。」


タロウは寂しそうに微笑んで、あたしの頭を撫でてくれた。


……冷たい。


タロウの手…こんなに冷たかったんだ。


出会った頃はサラサラだった髪も…ツヤを失っている。


透き通った茶色の目も、何だか濁って見えた。


「タロウ…もしかしてどこか悪いの?」


「…うん?そういうわけじゃないよ。……だけど…」


…?



だけど?


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