私の王子様


そこには…傷だらけで血まみれの子犬がいた…


その光景に、子供ながらにショックを受けたのを覚えている。


「大変!ワンちゃん!死んじゃうよ!誰かー!」


だけど時間も遅く、辺りには人の気配が無かった。


その時、茂みからユラリと人影が現れる。


それは…あたしと同じ位の歳の男の子で…手には血の付いたカッター。


「…君がやったの…?」


その子は何も言わずに走り去ってしまった。


「どうしよう…」


あたしは流れ出る血を見て、とっさに自分の首に巻いていたハンカチを外して、子犬に巻き付けた。


「絶対助けてあげるからね!」


あたしは子犬を抱き抱えて家まで走った。
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