私の王子様
真実と死
「一年位前にタロウは病気になって、歩くこともできなくなってしまったの。」
おばあさんはタロウを撫でながら言う。
「歩けない以外は割と元気だったんだけど…一ヶ月ちょっと前から急に…眠ったまま目を覚まさなくなった」
一ヶ月ちょっと前って…タロウがあたしの前に現れた頃…?
「死んでしまったのかと思ったの…。だけどそうじゃないのよ。眠っているだけで…温かい。この子は生きているの」
あたしはそっとタロウに近付いて、触れてみた。
眠っている…。
温かくて、ちゃんと呼吸してる。