私の王子様


「ね…、眠ってるでしょう?…だけど…不思議なことがあるのよ」


「不思議な…こと?」


おばあさんはこくりと頷いた。


「眠っているのに…病気で歩けるはずもないのに…この子、…時々いなくなるのよ」


「え……?」


それって…もしかして…


あたしを助けてくれてる時…?


「そして、帰って来たかと思うと、必ず容態が悪化しているの。今まで…どれくらいいなくなったかしら?そして今は…こんなに弱って…」


おばあさんは啜り泣いた。

タロウ…。


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