私の王子様


タロウの手と肩を借りてなんとか降りることができた。


華奢かと思ったら、意外にたくましくて、思わずドキドキしてしまった。


「ほら、見て」


タロウが指差す方向には穴のあいたフェンス。


その先には学校の教員入口が見える。


「あそこから入りなよ。」

「へえ…。こんなとこにぬけ穴があったんだ。つうか何でそんなウチの学校のこと詳しいの?」


「ここらへんは僕の庭だからね!」


タロウは得意げに笑った。

「庭?…とにかく、間に合いそうだよ!ありがとね。」


タロウは笑って手を振った。


ん?タロウは遅刻しないの?


…ま、いっか。
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