私の王子様
あたしはこっそり教員入り口から校舎に入り込んだ。
幸い先生の姿は無い。
教室までダッシュし、なんとかホームルームに間に合った。
タロウのおかげで。
でも…不思議なヤツ。
あたしのピンチにサッと現れ、あたしでさえ知らない学校の抜け穴を知っていた…。
何よりあたしの恥ずかしい妄想まで知ってるなんて…
謎は深まる。
「ハルカ〜難しい顔してどーしたん?」
親友のエミが朝食の菓子パンをかじりながら近付いて来た。
「いや、ちょっと…変な人につきまとわれてて。」
「え〜やばいじゃん。痴漢とか?」
「えっ!そーゆうんじゃないんだけど…」
エミは腕を組み、あたしの机に寄り掛かりながら
「はは〜ん。さてはカッコイイんでしょ。その人」
ニヤリと笑った。
「えッ!!」
ドキッとするあたし。
さすがエミ。鋭い…!