電車模様
こんなに早い時間の電車に乗ったのは初めてだった。

普段より一時間も早いこの電車はいつもよりやけにすいている。

自分の世界に入るにはもってこいのこの時間だが、あくまで僕の趣味は人間観察だ。


やはりいつもの人間模様を見ていたい。そしてそうしたものに心動かされたい。


僕が乗る車両にはいつも大抵同じ人が乗ってくる。

主には学生だ。同じ市内にあるもう一つの高校の制服を着た三人。

一人はとても地味な男だ。

いつも灰色のリュックを膝の上に置いている。
足元はあなたはいつも体育の時間?と言いたくなるほど白くて足が速くなれそうな靴。

残りの二人はたぶん制服からの判断だが男と同じ学校に通う二人の女の子。一人は色白で少しポッチャリしている。

鞄になにやらカラフルなものがたくさん付いていて目が痛い。


もう一人の女の子はスタイルが良い子と言っていいのだろうか?

スカートがやたらと短いからそう見えるのかもしれない。

ちょっと色黒だが顔は鼻筋の整ったかわいい子と言えるだろう。いつもこの二人は喋っている。


この三人は同性からは好かれないだろうなというなぜか強い自信がある。まぁ何の根拠もないのだが。

あとはサラリーマン風の男性が一人と初老の男が一人乗ってくるだけだ。

僕の視界が捕らえるテリトリーは以上の人物が映っている。
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