君の全てが欲しいんだ
「ほら。」
未来くんは着ていたパーカーを脱ぐと、私の肩にかけてくれた。
うん、相変わらず…。
優しいのは、優しいんだよね。
綺麗な顔してるし、背も高い。
並んで歩くには、最高、なんだけど。
密かなファンは、多かったと思う。
実際、―――。
別れた後、未来くんの周りには、女の子たちが群がっていた。
ただね、――――。
つまんなかったの。
面白くもないし。
いわゆる、草食系……?
なのに、束縛は結構、激しくて。
常に監視されてるみたいに、今どこ?メールが、すぐに飛んでくる。
返事がちょっとでも遅れたら、もう大変。
心配で仕方がないらしく、100件近くも着信が残されていた時は、正直、呆れたというか…。
怖い、―――――?
面倒くさくなっちゃったんだよね…。