君の全てが欲しいんだ
side by MIRAI
「起こしちゃった?」
うっすらと瞼が開き、有紗の長い睫毛が揺れる。
「どこ、行ってたの…?」
「学校、だよ。」
「…有紗、もう、お腹ペコペコだよ?」
「ごめんね、遅くなって。
すぐに用意するから、手を洗っておいで。」
「はーい。」
「ああ、有紗。」
「なにーっ。」
リビングの窓から差し込む光が逆光となって、有紗のブラウンの髪がキラキラと輝いている。
「有紗の携帯、持っておいで。」
「携帯……?」
「そっ、――――。
ちょっと、電話しよっか。」
「電話、――――?
誰に、電話するの……?」
ま、そうなるよね。
虚ろな瞳を潤ませて、ゆらゆらとした足取りで、有紗は僕のもとへ舞い戻る。
「言った通りにすればいいんだよ。
ちゃんと出来るかな?」
「言った通り……。」