君の全てが欲しいんだ
「ただいま。」
誰も返事、してくれないけど、一応、ね。
都内一等地にある、僕の部屋。
20階建ての最上階。
生前贈与で手に入れた資金と、デイトレードで儲けたお金で手に入れた、僕の、城。
外国人向けの物件のせいか、面白い間取りが気に入っている。
広いリビングの真ん中を、占領するように置かれたソファ。
そこで眠る、小さな身体。
まだ、クスリが切れるには時間がある。
僕は先にシャワーを浴び、楽な服装に着替えた。
いいお肉を買ってきたんだよね。
これをステーキにして、マッシュポテトを添えよう。
付け合わせには、インゲンと…、カブを焼こうか…。
甘ったるい人参のグラッセなんて、邪道だよ。
でも、君が好きならば…。
どんなことも、妥協してあげる。
君の笑顔が、見たいから。