シーソーゲーム
 そう。俺は去年もミズキとは同じクラスであった。中学を通じてだと、これで四年連続となる。こんなまぐれもあるものなのかと思いながらも、自分のクラスに誰がいるのか確かめていた。

「あいつもか」

 俺はその名前をしばらく眺めていたが、ミズキは俺の肩をたたいて言った。

「行こうぜ」

 下駄箱に靴を入れ、上履きに履き替え、俺たちは並列で階段を上っていった。クラスに入るまで、無言でいた。そしてクラスに入る。

 入ったその時、新鮮な感じがした。光の入り具合が一年の頃のクラスと違い、明るくなったような気がする。そんなことを思いながら、誰だろうというような目でこちらを一斉に見ていることに気付かなかった。俺はミズキの反応を見るなりそのことに気付いた。

「なあ、これって、歓迎されてるのか」

 少なくともそれはない。俺たちは足早に自分の席を探し、そして座った。席は六席で一列となっており、俺たちの席は偶然に隣同士であった。

「あいつは後ろか」

 そう俺がつぶやくと、そいつが教室のドアから顔を出した。そしてこちらに歩み寄って言った。

「よお、諸君。元気にしてたかな」

 席を確認し、ここだと確信してから荷物を置いて席に着いた。

「なんだなんだ、この登場は」

「ふふ、いいでしょ。それより、また一緒のクラスかー。何年ぶりだろうね」

「ざっと…中一以来かな。三人とも一緒のクラスは」

「こうやってまた一緒のクラスでいられるのも、何かの縁かもな。しかもこうやって席が近いし」
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