シーソーゲーム
「まあ、分かればいいのよ。分かれば」

 別にそこまで機嫌を悪くしたわけでもないが、ついつい声が強張ってしまう。

「まあ、見てなさい。華麗にグラウンドで舞う私に見惚れていなさい」

「そりゃ、見ものだな」

 私たちは試合をするグラウンドへ向かった。

 この学校は公立にも関わらず、野球場のグラウンドが二面、サッカー場が一面、他にも弓道場、ラグビー、プールなど、安い土地だからこそできる、私立並みの設備が整っている。そのおかげで部も強い。事実、よく大きな大会でいい成績を収めている。

 グラウンドにはもう試合が始められるようになっていた。

「それにしても、よく男女混合チームなんて採択されたよな」

「そのおかげでまた私とできるじゃない」

「まあ、そうだな。感謝、感謝」

 シートノックが終わり、試合が始まる。

 しかしその試合の内容は非常に薄く、あっという間に終わった。コールド、負け。

 当たり前かな。相手は現役野球部軍団のようなチームだ。叶うはずもない。しかしリーグなので、まだ分からない。

「ほら。元気だしなって。まだ終わったわけでもないし」

 声をかけてみるも、やはりコールドゲームを喫したチームは盛り上がらない。もう何と言っても動じないだろう。

 しかし私はまだどうにかなることを信じて、試合をやってみると、やってみるものだ。なんと残りの二試合とも勝ってしまった。相手はそんなに弱いチームではない。あえて言えば強いチームだった。だがコールドをされたチームは全勝し、結果的に決勝トーナメントへコマを進めたのだった。

「何気にすごいな。俺たち」

 リョウは勝ったことに驚いている。

 それもそうだ。コールドしたチームも辛勝だった。それに代わって私たちは、大量得点の大差で大勝した。

「決勝には出れなかったけど、明日は楽しくやろうな」

「そうね。どうせ消化試合だし」
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