blue moon
店のトビラをしめた
しゅんかん。

「はぁー」

ためいきがこぼれた。

右手に持ったままだった携帯電話の着信履歴を開いた。

五回コールして出なかったらきろう
自分の中でルールを作り発信ボタンを押した。

プルルルル
プルルルル
プルルルル
プルルルル
プル

「はい!もしもし」

ちょっとあわてた様子だった。

「青夜??」

青夜だとわかっているのに、なぜか聞いてしまった。

「五回コールで出なかったらきろうと思ってた」

自分で勝手に作った
ルールを青夜に報告してみたくなった。

「えー!?俺、何回で出た?」

「四回半くらい」

「うわっ!!ギリギリ」

青夜はこんな下らない
アタシのルールにまで
付き合ってくれる。

「乃亜から電話くれたの初めてやな」

青夜と知り合ってから
一週間くらいたつが
アタシから電話をした事はなかった。

「気が向いたからかけてみた」

やっぱり何となく
上目線で喋ってしまう。

「今日も忙しかった?
そろそろ遊んでや」

「いいよ」

「えっ!?うそっ」

アタシの意外な返事に
青夜はかなりおどろいていた。

「今から会ってもいいよ」

30分後に近所の駅で待ち合わせる事を決め
電話をきった。


さっきの席での事を忘れたかったせいか
青夜に会ってもいい
という気分だった。

多分、青夜から
"ほめ言葉"と"優しさ"
をもらいたかったんだと思う。
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