blue moon
リュウ君の車は
青夜の車と色違いだ。

だから乗り心地が
とても似ている。


「送って行った時に
俺が言いかけたこと
なんやけど」

アタシは声を出すのも
しんどかったから
クビを
タテにふるか
ヨコにふるかしか
しなかった。

「何から話せば
ええんかな?」

話を整理しようとして
頭の中で色々と考えてるみたいだ。

「アイツ
仕事やめようとして
先輩に
話しに行ってな…」

最初から
アタシの全く知らない話がとびだした。

「乃亜ちゃんと結婚するのに
やっぱマトモな仕事せなアカン言うてたわ」

やっぱりまだ
うなづくことしか
できない。

「でも分かるやろ?
刑務所あがりやし
保護カンもついとるし
マトモに働ける職場なんか
そうそうないねん」

「うん」

小さな声なら
出す気になってきた。
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