blue moon
「はいるよ」

リカちゃんは
アタシの返事を待たず
部屋に入ってきた。

「いったい
何があったの?」

今にも泣き出しそうな
リカちゃん。

前に比べると本当に優しい子になった。


「青夜ね
いなくなっちゃったの」

「別れちゃったの?」

生きたままのお別れだったら
どんなにいいか。

生きていれば
また会える。


「ちがうよ」

リカちゃんから目をそらしながら言った。

「青夜ね
死んじゃったの」

初めてそのことを
クチにしたとたん
現実味がましてきた。

青夜がいない事実を
再確認してしまった。

目の前が
ぼやけて
にじんで見える。

青夜がいなくなって
アタシは初めて
涙が出た。

子供のように泣くわけではなく
ポロポロと
勝手に涙が出てきた。
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