blue moon
そのカギをにぎりしめ
マンションの下に
おりて行った。

何日ぶりに
外へ出たのだろうか?

冬の空気は澄んでいて
アタシに
"カツ"
を入れているようだ。

青夜の愛車が
目に入った。

「乃亜ー!!」

青夜がドアをあけて
呼んでくれる気がした。

ゆっくりとカギをさし
ドアをあけた。

最初に感じたのは
青夜の愛用していた
香水のカオリだ。

そして
青夜の愛煙していた
タバコのカオリ。

アタシは
運転席に座ってみた。

エンジンもかけず
ただ座ってみた。

目をとじて
青夜のことを想う。

笑う青夜。

怒る青夜。

喜ぶ青夜。

悲しむ青夜。


とじていた目を
ひらいても
横に青夜はいない。
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