blue moon
月の形のネックレスを
にぎりしめながら
青夜がいなくなって
初めて
声を出して泣いた。


大きな声で
子供のように泣いた。

もしかしたら
外に聞こえていたかもしれない。

それでも
そんなことは
どうでもよかった。


人間は
興奮しているとき
寒さを感じないが
それがさめると
体も冷えてくる。

部屋に戻らなければ
風邪をひいてしまいそうなくらい寒い。

でも
車の中は
青夜のカオリ
青夜の思い出であふれている。

それが逃げてしまうような気がして
車のドアやマドを
あけられずにいた。

仕方ないので
青夜が車にのせていた
毛布にくるまった。

この毛布も
青夜のカオリがする。

安心できるカオリ。

"何も心配せんと
早よ寝えや"

と言われてるような気がした。

アタシは
久しぶりに眠りにおちることができた。
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