blue moon
自宅のマンションと職場は自転車で10分程度のきょり。

たまにスーパーにより道するが
それ以外はまっすぐ
家へ帰る。

玄関のカギをあけ
部屋の中にはいる。

誰もいないのに
「ただいま」
と言ってしまうのは
習慣と言うか…。
クセと言うか…。

帰ってきて一番に
電気をつける。
その後は決まって
テレビをつける。

音のない世界に一人でいると
気がおかしくなりそうなくらい
さみしくなる。

テレビに話かけるのも
さみしいが
声を出さないと
自分の声を忘れそうになる。


〜♪♪♪♪〜
カバンの中に入れたままだった携帯電話が鳴っている。

「ハイハイ。今出るから待ってよ。」

意識してるつもりはないのに
ひとりごとが自然と出てしまう。

携帯電話をひらき
着信をみると
"青夜"

アタシは青夜の存在を
スッカリ忘れていた。

昨日の夜の事なのに
頭の中から
スッポリ消えていた。

出ようか?
無視しようか?
携帯とにらめっこする。

(電話するくらいなら平気だよね?)
そう自分の中で思い
ボタンを押してみる。
< 5 / 202 >

この作品をシェア

pagetop