blue moon
その夜アタシと青夜は
一晩中
手をつないでいた。


「乃亜。
ありがとうな」

「なんで
お礼言われたのか
わからないよ」

アタシはクスッと
笑った。

「ありがとうなって言ったら
素直に返事してや」

青夜は照れている。


23年間生きてきて
こんなに
他人を愛しく思えた事は初めてだった。

自分の気持ちよりも
相手の気持ちのほうが
大きくなければ
納得がいかなかった。

でも今は
青夜の気持ちに負けたくない。

そう思う。


二人は
手が離れないように
お互い強くにぎり合いながら
眠りにおちた。
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