俺様なアイツのしつけ方。
4月。

夏野琴羽(ナツノコトハ)は、憧れの郷花学園で入学式を迎えようとしていた。

自分の前に建つ校舎を見つめていると、自然と笑みが溢れる。


「ついに入学式かぁ。嬉しいなぁ…」


そう呟いて、手元の入学案内に目を落とす。

早く入学式がこないかと、春休み中ずっとウキウキしていたのだ。

この日を無事迎えられることがとても嬉しかった。

刹那。


「琴羽ぁ〜!!」

「きゃあっ!?」


背後から急に誰かに抱きつかれて、琴羽は入学案内を落としてしまった。

それを拾いながら、顔を上げると琴羽の正面に回ってきた井上未花(イノウエミカ)が笑っていた。


「制服似合ってんぢゃん♪」

「未花もね」


入学案内についた砂を払いながら、琴羽は苦笑した。
未花とは、幼稚園からの付き合いだ。

一緒に郷花学園を選んだのも、制服が可愛いからだった。


「制服似合わなかったら、未花達入学した意味ないもん」

「まぁね」


制服を見下ろし呟く未花に相槌を打ち、歩き出す。


「クラス表見に行こう?」

「うん♪」


仲良しの友達と一緒の高校。

あとは一緒のクラスになるだけだ。

しかし、人生そんなに甘いものではなくて…。




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