俺様なアイツのしつけ方。
「蓮、どこ行くの」
「トイレ」
廊下を進んでいた蓮が、立ち止まらず答える。
琴羽は駆け寄って、蓮の前に回り込んだ。
「さっきはありがとう!!」
「は?」
面倒臭そうに立ち止まった蓮に微笑む。
「さっきのアドバイスのこと」
「あぁ…。別に」
息をついて頭を掻く。
「服のことなら親父の付き合いで、小さい頃から食事会出てるしな」
「へ-え…」
「ホストもそこらの金持ちも、正装なんて大抵みんな一緒だろ」
「金持ち…」
そんな単語自分も言ってみたい…羨ましそうに蓮を見つめてみる。
そういえば、性格や言動から忘れていたが…蓮は理事長の息子なんだった。
先日の蓮の部屋を思い出す。
あんな高そうなマンションに一人暮らし、そして広い部屋。
成績もトップでモテモテ。
最高な境遇だ。
なのに…
「本人がこれじゃねぇ…」
「やめろその顔」
哀れみに満ちた琴羽に、むっとしたのか傍らを通りすぎる。
肩越しに振り返って蓮の背中を見つめていたが、やがて微笑むと教室に戻っていった。
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