俺様なアイツのしつけ方。
気になった琴羽が問いかけようとして口を開きかけると、ガラ…っと扉が開いた。
「比奈ちょっとトイレ行ってくるね-…、…あれ?」
「あ、比奈」
「おかえり琴ちゃん。あ、荷物手伝うよぉ。優ちゃ-んっ、琴ちゃんが運んできてくれた荷物教室の中に運んで-っ!!」
琴羽の荷物を預かりながら、教室の中にいる優を呼んでくれる比奈。
再び振り返ってようやく陽斗達の存在に気付いた。
「あれ、この人達は?」
「あ、荷物運び手伝ってくれたんだ。陽斗くんと尚くんと一輝くん。3人ともE組なんだって」
「そうなんだぁ、琴ちゃん手伝ってくれてありがと-」
比奈がふんわり微笑む。
「えっと、この子は三谷比奈」
「よろしくねぇ」
琴羽の言葉に比奈が軽く頭を下げると、3人もそれぞれかすかに頭を下げた。
…と、比奈の頭にポン、と手が置かれた。
「人呼んどいて何のんびり自己紹介してんのよ。あんたトイレはいいの?」
「あ、優ちゃん」
比奈が顔を上げて嬉しそうに声を上げる。
「こっちは田口優。私達みんなA組なの」
「ん、この人達は?」
優の問いかけに、比奈が説明を始めた。
その横では、琴羽の言葉に陽斗が微笑む。
「クラスの準備は順調?」
「うん、まぁそれなりに」
「みんなEだったらよかったのにな-」
一輝がむぅとむくれるので、琴羽が苦笑し、陽斗が一輝を小突く。
「お前はただうちのクラスの女子が怖いだけだろ」
「アキだって一緒だろ-が」
べ、と舌を出す一輝がなんだか可愛くて琴羽がそっと笑っているとバタバタと足音が聞こえてきた。
…と。
「あ-っ、陽斗達発見したよ!!」
「ホントだ!!…ちょっとアンタ達何サボってんの!?」
どうやら噂のE組の女子らしい。
見事に3人とも、明らかに「うわ、やべぇ」という表情に変わった。
「じゃ、じゃあな…っ!!」
「うん、ありがとう」
陽斗達は軽く琴羽に手を挙げて、駆け去っていった。