俺様なアイツのしつけ方。
「で、琴羽ちゃん」
「いっ!?」
陽斗達を見送り振り返った琴羽は息を呑んだ。
比奈が意地悪そうに笑って琴羽の顔を覗き込んできたのだ。
「浮気かなぁ?」
「はっ!?」
「だってぇ、琴ちゃんには小宮君がいるのにさぁ」
「ちょ…っ」
「こんなこと知ったら病み上がりの小宮君、また病気になっちゃうかもよぉ?」
「比奈…っ、いい加減に…っ」
「はい、ストップ」
「「!!」」
迫ってくる比奈にさすがの琴羽も叫ぼうとした時、2人の顔の間に手が割り込んできた。
2人で手を辿ると、呆れた顔の優が立っている。
「比奈はさっさとトイレに行く!! 琴羽はこの荷物教室にいれる!! 全くこの忙しい時に、こんな廊下の真ん中でくだらないこと言ってるんじゃないわよ。準備してる他の生徒の邪魔でしょ-が」
「「は-い」」
「何よその返事は」
「「はいっ」」
優に睨まれ、完璧縮み上がった2人は指定された場所へそれぞれ急ぐ。
それを見送った優は、呆れたようにため息をつくとちらっと廊下の角を盗み見る。
僅かに男子の制服が見えた。
(小宮…よね-…、あれはきっと)
そっとため息をつく。
優はついさっき、あの場所に蓮がいることに気が付いていた。
だから2人の間に入り、会話を中断させたのだ。
しかし会話は聞こえていただろうし、もしかしたら陽斗達との絡みも目撃されたかもしれない。