俺様なアイツのしつけ方。
「……」
廊下の壁に寄りかかっていた蓮は、無造作に両手をポケットに突っ込んだ。
琴羽と廊下で話した後トイレに行き、その後は特に行く当ても無く適当に校内をブラついていた蓮は、ひとまず教室に戻ろうとこの角を曲がろうとした。
そして目撃した。
忘れもしない。
随分慣れ親しんだ男子生徒の顔を。
『俺たちさ、………よなっ!!』
いつかの光景がフラッシュバックする。
『お前には1番に言いたくてさ!!』
『ははっ、そう言ってくれると思ってたぜ』
『やっぱお前、最高だわ』
いつも眩しく感じていたあいつの笑顔。
隣にいるのが当たり前だった。
つい最近まであいつは自分の隣にいた。
だけどそれを壊したのは…━━。
『どういうことだよ!!』
『お前ずっと俺の事馬鹿にしてたのかよ』
『お前っていつもそうだよな…っ!!』
あの時のあいつの顔が忘れられない。
鋭く自分を睨み付ける瞳。
怒りで震える拳。
荒々しく上下する肩。
「………」
まさかまた再会するなんて。
それも自分が唯一心を許している奴と関係を持っていたなんて。
これは神が仕組んだのか。
あの時の俺に仕返しするために。
━━……里見陽斗
アイツは俺が大嫌いだ。