俺様なアイツのしつけ方。


優が琴羽を見つめ、ふと頭に先程の光景を思い出す。

まさかあれが原因で帰ったのだろうか。

だとしたら琴羽にも話しておかないと。

優は片付けを中断して琴羽の元へ行こうと立ち上がった。

…と。


「琴羽ちゃん」

「あ」

「!!」


廊下から琴羽に声をかけてくる男子生徒に気付いて、優が固まる。

アイツこそが今この状況を生んだ元凶。

里見陽斗。


「ちょっと廊下出れる?」

「あ、うん」

「……!! 琴羽、まだ片付けが…っ」

「優ちゃん、これ持つの手伝ってぇ」

「……あ、うん…」


陽斗に呼ばれて廊下へ出ていく琴羽を引き止めようとするが、比奈に声をかけられ失敗に終わった。

教室の窓から、廊下で話す2人を見つめる。

そしてある事に気付いた。


「あ、れ…?」

「ちょっと優ちゃ-ん?」


後ろで不機嫌そうに呼んでいる比奈の声も耳に入らない。


「あの顔どっかで…」


なんだか陽斗のことを知っている気がした。


「優ちゃんってばっっ!!」

「あ、ごめんごめんっ」


しかし比奈に腕を掴まれ、強制的に片付けさせられたため、すぐにそんなこと忘れてしまった。








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