俺様なアイツのしつけ方。
休み時間。

さっそく秋夜がA組にやってきた。


「琴羽ちゃん、クラスマッチの練習…」

「私、忙しいからいけないの。ごめんね」


謝罪の挨拶もそこそこに、机へと戻っていく琴羽を見ていた秋夜は黒板を見て小さく舌打ちした。


「まさか…蓮が出場するのか…?」


黒板にはバスケの欄に、しっかりと蓮の名前が書かれていた。

さっきの話で、罪悪感を感じ出場しないと計算していた秋夜は予想外の展開に唇を噛むのだった。





「んで?」

「へ?」


昼食のお弁当を口に運んでいた琴羽は、手を止めた。

「へ?…ぢゃねぇよ。なんでお前が俺と一緒に屋上でご飯なんか食ってんだよ」

「あ〜…そぉいえばそぉだね」


あはは…と誤魔化して、再びご飯を口に運ぶ。

琴羽と蓮は今、屋上にいた。

この学校には喫茶店などがあるため、なかなか屋上を利用する生徒が少ない。

そのため、今も屋上にいる生徒は琴羽と蓮、2人だけなのだった。


「俺、お前のこと嫌いなんだけど」

「私もあんたのこと嫌いよ?」

「じゃあ、なんでついてくるんだよ」

「なんででしょう?」

「……」


蓮は、呆れた様子でパックのコーヒー牛乳を飲む。

一方、琴羽もよく分からないのであった。

今朝、秋夜に蓮の過去をちょっとだけ聞いてから、なんだか蓮の背中が小さく見えて仕方がない。

放っておけないのだ。


「…蓮さぁ、友達いないの?」

「いない」

「なんで?」

「1人が好きだから」

「…ふぅん」


会話終了。

蓮は、他の生徒と違って会話をしていてもすぐに話題がなくなってしまう。

正直、よく分かんない。





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