俺様なアイツのしつけ方。
「うわっ、もう終わった!! 1限目までまだまだ余裕じゃんっ」
「よかったな。俺も教えやすかったよ、アンタがすぐ理解してくれたから」
「おい、俺はアンタじゃねぇよ。さっき教えたろ? あ・き・と!!」
「別に名前くらいどうでもいいだろ」
冷めた様子で席を再び前に向ける蓮。
ノートを取ろうと再び陽斗の机に手を伸ばす、とぐいっと引っ張られた。
「……っ、おい、なにす…!!」
「どうでもよくなんかないだろ、俺達クラスメートなんだし!! お前こうやってちゃんと会話出来んじゃん。優しいとこだってあるしさ、これからはちゃんと自分見せろよな、蓮」
「……はぁ?」
陽斗との言葉に呆れ半分で声を漏らす。
「とりあえず手、離せよ」
「お前が分かるまで離さない。俺はお前が気に入ったんだ、だからクラスの奴らにもお前のこと分かってもらいたい」
「………」
今までとは打って変わって真剣な陽斗の瞳に、蓮が静かになる。
だが、しばらくして蓮が陽斗から目を反らした。
口許に手を当てる。
「は、お前まぢ意味分かんねぇ…」
小さく笑った蓮に、陽斗は顔が熱くなった。
「あっ蓮、お前また俺を馬鹿にして…━━!!」
「…お前みたいに俺にここまで絡んでくる奴初めてだよ、“陽斗”」
「え…」
蓮に怒鳴ろうとした陽斗が固まる。