俺様なアイツのしつけ方。
「難しい奴だよなぁ…」

「お前がな」


琴羽の呟きにそう返して、蓮は立ち上がる。


「あれ、どこ行くの?」

「どこだっていいだろ」


ついてくんなよ、とでも言いたげな瞳で琴羽を見れば、蓮は1人屋上を後にした。


「置いてかれた…」


1人呟いて気づく。


「あぁ!!バスケの練習しとけって言うの忘れたっ!!」


しかし時既に遅し。

扉に駆け寄って開いても、蓮の姿はなかった。







それから一週間。

蓮は急に授業をサボるようになった。

連絡をしようにも、携帯番号もアドレスも聞いていないため連絡できない。

そしてついに、クラスマッチが翌日に迫っていた。







朝。

教室のドアを開けた琴羽は、入るなり辺りを見渡し近くにいた男子生徒に近づいた。


「蓮見なかった!?」

「さ、さぁ…」

「…そっか。ありがと」


鞄を机に置くと、しばらく考えた末に屋上に向かった。






「蓮!!」


バンッと扉を開くと、案の定蓮はフェンスに背を預けて座っていた。


「いたぁ」

「なんだよ、何か用?」


あらかさまに迷惑そうな顔をされ、一瞬カチンとくるもなんとか耐え、蓮に近づく。


「最近、教室来てないよね。どぉしたの?」

「別に。お前には関係ないだろ」

「あるもん。蓮をバスケに推薦したのは私だよ?蓮が負けたらクラスに申し訳ないでしょ」

「はっ。安心しろ。俺様は運動神経がかなりいいからな。練習なんかいらないんだよ」


自信満々にそう言うと、立ち上がって伸びをする。


「さぁて、行きますか」


にっと笑って、蓮は呟いた。









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