俺様なアイツのしつけ方。


「だから、俺もアイツの大切なもの奪ってやろうかと思ってさ?」

「……な、に言って…」

「………」


怖い。

怖い怖い怖い怖い。


足が動かない。


状況が分からない。

ついていけない。




蓮が陽斗の彼女を横取りした…?




「………っ」

「な-んてね、全部ウソっ!!」

「へ?」


ぽかん、としている琴羽に対し、陽斗はすっかり元の表情に戻っていた。


「はははは、なんて顔してんの」

「え、え、え…?」

「琴羽ちゃん騙されやすそうだし、からかってみただけだよん。ごめんな」

「え、ちょ…はぁ?!」

「まぁ、そういうことだから。あ、中学の話はまぢだよ? ぢゃあなっ!!」


陽斗は琴羽の頭をぽん、と撫でて廊下を駆け去っていく。

琴羽は呆然と立ち尽くしていた。


「な、なんなのよ〜……」




━━━…蓮は俺の彼女を横取りしたんだ。




あれは嘘?


「まさか…ね…」


頭を小さく振って、琴羽は教室に戻っていった。








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