俺様なアイツのしつけ方。
挨拶も終わり、蓮と秋夜は一言も話さずにそれぞれチームのベンチに戻った。

蓮の怪我を心配した琴羽が駆け寄ろうとした刹那、蓮に背後から抱きついた人物がいた。

最後のシュートを決めた、井藤くんだ。


「小宮!!」

「!?」


蓮は驚いて、振り返る。

「バスケやってくれてありがとなっ」

「あ〜…うん」

「ずっとさ、そぉいうのくだらないとか思ってるんだろぉなぁって思ってたからさ、かなり嬉しかったんだぞ」

「なんだよ、それ。俺普段そんな風に見られてるわけ?」


蓮が苦笑する。

その時、井藤くんが友達に呼ばれた。


「じゃあ、俺もぉいくわ。また閉会式な」

「あぁ」


井藤くんは、蓮に笑って歩き去ろうとした。

その時。


「なぁ!」

「あ?」


急に蓮が井藤くんを呼び止めた。

井藤くんが振り返る。


「最後のシュート…やるぢゃん」

井藤くんの口がかぱっと開く。

琴羽も驚きのあまり数回瞬き。

蓮は井藤くんの反応を見てバツの悪そうな顔をすると頭を掻いた。


「お前もな!!」


しばらくして井藤くんが叫んだ。

満面の笑みで。

琴羽はそれを見てつられて笑ってしまった。

蓮が人を誉めた。

なんだかそれがすごいことに思えたのだ。







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