俺様なアイツのしつけ方。
「…むぅ」


教室が夕焼けに染まる放課後。

琴羽は1人残って勉強していた。

先程まで未花がいたのだが、用事があるらしく帰ってしまったのだ。


「なんなのよぅ、数学なんて+−×÷が出来ればそれでいいぢゃんかぁ!!」

「…確かに」

「!?」


叫んだ瞬間、声が聞こえて琴羽は驚いて立ち上がった。


「…蓮」


蓮が教室の入り口に立っていた。


「なにしてんの」

「忘れ物。そしたらなんかでけぇ声が聞こえたから…」

「…っ」


恥ずかしくなって、琴羽の顔が真っ赤に染まる。

そんな顔を見られたくなくて、琴羽は椅子に座り直して机に向かった。


「えぇっと…」


蓮が近づいてきて机に手を突っ込む。


ガサガサ音がして、携帯を取り出した。


「忘れ物って携帯!?」

「ん」


当たり前、とでも言いたげに蓮が携帯を開いた。


「試験前なのに余裕ぢゃん…」

「まぁなぁ」


にやっと笑って、蓮が椅子に座る。


「なんで座るのよ」

「別にぃ」


蓮が琴羽の手元を覗き込む。






< 20 / 121 >

この作品をシェア

pagetop