俺様なアイツのしつけ方。
あまりに衝撃的過ぎて、頬杖をしていた手から顔が外れた。

目の前には、困った顔で小さな子供を抱く琴羽の姿があった。


「……」

「……」

「…お前の子?」

「馬鹿っ!!」


蓮のボケを予想していたのか、素早いツッコミが返ってきた。

叩かれた頭を擦りながら、改めて子供を眺める。

泣きそうになりながらもしっかり風船だけは掴んでいる。

男の子だった。


「お前、名前は?」

「……」


潤んだ瞳で蓮を見るも、何も答えない。

すると、琴羽が優しく微笑んでそっと問いかけた。


「キミ、名前はなんて言うの?」

「…せ、な…」


とても小さな声で一言。

琴羽と蓮は顔を見合わせた。


「せな君っていうんだね」

「名前だけでも分かって良かったな」


ほっと息をついて、頭を掻く蓮。

そして辺りを見渡し呟いた。


「迷子センターにでも預けに行こうぜ」

「えぇ!?」

「え…?」


提案した瞬間叫ばれて、瞬きを一つ。


「蓮、ひどいっ!!」

「……。は?」


なぁんかめんどくさいことになりそぉだなぁ…。

嫌な予感がして、琴羽の言葉を待つ。

案の定…。


「この子を迷子センターになんて預ける気!?」

「いけないワケ?」

「知らない大人達に囲まれて可哀想ぢゃんっ!!」

「……」


はぁ…!?

あまりの理不尽さに返す言葉もない。


「だから私達で…」

「待て待て、待ったストップ」

予想が的中し、とんでもないことを考えている琴羽にさすがの蓮も待ったをかける。






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