俺様なアイツのしつけ方。
「俺の言葉を聞かずに、頑として考えを変えないとは…なかなかやるぢゃねぇか、せな君」

「あい♪」


にっこり微笑むせな。


「お前…琴羽に似てんな、頑固なとこ」


まったく。

どいつもこいつも頑固なんだから。

ため息をついて、蓮は綿菓子に手を伸ばした。






「おいしい?せな君…」

「あい♪」


琴羽と蓮に挟まれるようにしてベンチに座った、せなは満面の笑みを浮かべた。


「そーかいそーかい。買ったかいがありマスよ」


せなの表情を見た蓮が、背もたれに寄りかかりながら呟いた。

すると、何かが頬に当たった。


「?」


見ると、せながベンチに立ち上がり、蓮の口に向かって必死に手を伸ばしていた。

「にーた…あいっ」

「へ?」

「『にぃたん、はい』…だって」


首を傾げる蓮に琴羽が通訳する。


「なんで分かるんだよ」

「なんとなぁく」


微笑む琴羽に、なんとなくかよ…とツッコんで、蓮はせなの手に合わせて屈み込んだ。


「あ〜…」

「あー」


せなに合わせて声を出す。
棒読みだが。


―――パクッ


蓮が綿菓子を食べた。


「うま…」


照れ臭そうに笑って、せなの頭を撫でる。

せなが、キャッキャッと笑った。







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