俺様なアイツのしつけ方。
せなと蓮の会話を眺めていると、なんだか心が暖かくなる。


「えへへ…」


平和だなぁ…なんて微笑んだ琴羽。

刹那。


「なに笑ってんだ、気持ち悪い」

「!!」


蓮が不審そぉに眉を寄せる。

琴羽は見られたことによる恥ずかしさから顔を真っ赤にさせた。


「うるさいわね、ちょっと考え事してただけよ」


つん、とそっぽを向く。


「…ぁ??考え事??」


なに考えてたんだ??…と蓮が問いかけようとしたが、うまい具合にアナウンスと被った。


<迷子のお呼びだしを致します。パパとママと来た、神谷瀬名(カミヤセナ)くん??>

「あいっ!!」


名前を呼ばれ、反射的に手を挙げる瀬名。


「……」

「……」


2人の間に沈黙が流れる。

その間にもアナウンスは流れ続けている。


<瀬名く-ん!!ご両親が心配してますよ-。分かったら近くの大人に助けてもらってくださいね-。パパとママは赤い屋根の建物で待ってますからね-♪>


何回か繰り返したのち、アナウンスが終了した。

ちらっと、蓮を見る琴羽。

蓮の表情が(だから最初から迷子センターに行けばよかったんだよ、この馬鹿が)…と物語っている。


「ごめん…」


しゅん、となる琴羽の頭をひと撫でして立ち上がる蓮。


「瀬名、母さんと父さんが待ってるってさ」

「う??」


きょとん、とする瀬名を抱き上げる。


「ほら、琴羽も行くぞ」


やっと立ち上がった琴羽を見てそっと微笑むと2人は迷子センターに向かった。









< 42 / 121 >

この作品をシェア

pagetop