俺様なアイツのしつけ方。
迷子センターを後にした2人は、適当に園内を歩き始める。


「あ、あのさ…蓮…」

「……」


明らかに先程と違う蓮の態度に、琴羽は内心焦っていた。

声をかけていたが、反応がない。


「ねぇ…、蓮ってば!!」

「……え??」


正面に立ち大声を出すと、やっと蓮が気が付いた。


「大丈夫…??」

「…なにが」

「…え、えっと…」

「平気。今日あんたと瀬名に付き合って疲れただけ」

ポンポン、と琴羽の頭を撫でて蓮がかすかに笑う。

琴羽は、その笑顔を見てそれ以上追及出来なかった。

「…そっか。なら、いいんだけど…」


はは、と笑ってその話題を終了させる。


「とんだ休日だったな」


欠伸をして、蓮が呟く。

そうだね、と相槌を打つと琴羽は今思い出したかのようにポンッ、と手を打った。

すっかり忘れていたが、今日は一応蓮とのデートだったのだ。

…正確には、琴羽のご褒美。

…しかし。


「私全然遊んでないじゃん!!」


ショックを受けたように叫ぶ琴羽を見て、ため息をつく蓮。


「今まで忘れてくせに」

「だって瀬名君心配だったし…」


しゅん、となってしまった琴羽に、蓮はそっと笑った。


「しょうがないから、また来てあげてもいいけど…」

「…え??」


顔を上げるが、すでに蓮はさっさと歩いて行ってしまった。


「ちょ…蓮!!」


慌てて追いかける。


「ね、また一緒に来てくれるの??」

「さぁね」

「なによ、それ!!」


怒りに叫ぶ琴羽に、意地悪そうに笑う蓮。


さっきの蓮の表情が気になるけど…。

今は楽しいからいいよね??

「また聞こっ」

「なにが??」

「なんでもな-い」






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