俺様なアイツのしつけ方。
「俺さ…あんたが凄いと改めて思ったよ」

「……」


蓮の言葉に、琴羽はなんとも言えない顔をした。

蓮は朝のSHRが終わった頃に教室に入ってきて、文句を言おうとした琴羽を見て安心したように息を吐いたのだ。


「…何があったわけ??」


明らかに変な蓮へ問いかける。

蓮は頬杖をついて、答えた。


「いや、俺さ…やっば女子苦手だわ」

「…は??」


何が言いたいんだ、

という突っ込みをなんとか押し止めることに成功して蓮の言葉の続きを待つ。


「女子ってさ、大抵の奴がウジウジしながら話してくんじゃん。なにが恥ずかしいのか知らないけど…」

「はぁ…」

「俺、それが苦手なんだよね。見ててイライラしてくるわけ」

「……」

「でもさ、あんたって違うじゃん。はっきりと強気で俺に向かってくるじゃん…改めて凄いと思うよ」

「それはどうも」


適当に礼を述べて流す。


(もしかして私、女子に見られてない…??)


なんて疑問を打ち明ける訳にもいかず、隣の席の蓮を見つめる。


「なんか蓮変だよ」

「朝から変なことしちまったかんなぁ…」

「変なこと??」


授業に使う教科書を、トントン…と整えながら問いかける。


「落とし物…拾っちまった」

「いいことじゃん…」

「今までの俺なら素通りだったんだよ。なんでかね…」


窓の外を見て、ため息をつく蓮。

黄昏てる…あの蓮が。


「なんか今日、蓮のキャラ定まってないね…」

「変なことしたから精神的にキテんだよ…寝るわ」


これから授業だというのに蓮は机に突っ伏して、寝始めてしまった。


「……??」


そんな蓮の姿に、琴羽はただただ首を傾げるばかりだった。







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