俺様なアイツのしつけ方。
放課後。


「未花!!」


名前を呼ばれて未花は振り返った。

琴羽が走ってくる。


「何か用…?」

「話が…」

「毎日毎日いい加減にしてよ。もう未花が話すことはないもん」

「私はあるよ…?」


息を切らして未花の前に立つ琴羽の必死な顔に、未花は持っていた鞄を握りしめた。


なんでそんなに必死なの…


「あのね、未花…」

「私、今日用事あるから」

「待って!!」


琴羽に背を向けた未花を引き留めようと、腕を掴む。

未花はそれを振り払った。

「触らないで!!」


叫んで振り返った未花は、あ…っと口に手を当てた。

だか、すぐに背を向けて駆け去ってしまった。


「未花…」


――毎日毎日いい加減にしてよ。


――触らないで!!


蘇る未花の言葉。

胸がちくり、と痛む。


しかし、琴羽はぶんぶんと首を振った。


「また蓮に意気地無しって言われちゃう」


また話そうと、考え足を踏み出すと何かを踏んでしまった。


「…?」


見ると、キーホルダーだった。


「これ…」


手に持ってよく見ると、クローバーの片割れだ。


「…未花…のだよね…」


琴羽は、それをポケットに仕舞うと慌てて駆け出した。









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