俺様なアイツのしつけ方。
「一緒に遊ぼっ」


そう言って手を差し出した少女。

困惑しているのを察したのか、にっこりと微笑んだ。


「私、井上未花。ね、友達になろうよ」




――友達




どきん、と胸が高鳴った。


「とも…だ、ち…?」

「うん!!」




欲しくて堪らなかったもの。


願っても手の届かなかったもの…


それをくれたのは…




















「未花…」


ぽたり、とスカートに涙が落ちて吸い込まれていく。




馬鹿だ…私。


なんで忘れてたんだろう。


今の私がいるのは未花のお陰だということ。


大切なものを突き放すなんて…




「ごめんね、未花…」


会って謝らなくちゃ。


もう失ったりしない。


未花がなんと言おうと離さない。


あの日のお礼だって言ってない。


「明日…」










必ず未花に会いに行く。










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