俺様なアイツのしつけ方。
ぶらぶらと街をさ迷っていた未花は春也にナンパされたのだ。

もはや投げやりになっていた未花は、辛いことを忘れたいと春也に漏らした。

ただ忘れられればいい。

体目的でもいいから、忘れさせて欲しかったのだ。

しかし、春也は家に連れ込むなり白い粉末の入った袋を差し出した。


『…なに、これ…』

『魔法の薬♪ 辛いこと忘れたいんでしょ?』


春也はただ薬を売るカモを探していたのだ。

未花に、今回はタダでいいからと渡し連絡先を交換した。

しかし朝になり連絡するも繋がらないため探していたのだ。

そして学校で未花に遭遇した。


「この様子だと使ってないんだ?」

「私…やっぱり…」

「今さら逃げんの?」


ぐっ、と掴む手に力を込める。


「あ…っ…!!」


痛みに涙が浮かぶ。


「なにしたって辛いだけだよ? だったら、忘れちゃおうよ」

「でも薬なんて…っ」

「うるさいな。とりあえず、俺んち来いよ」


いつまでもうじうじしている未花に苛ついた春也は、強引に未花を連れて歩き出した。


「いやぁっ…」


未花は叫ぶが、早朝ということもあって人がいない。

誰もその声を聞くことがなかった。











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