俺様なアイツのしつけ方。
琴羽はいつもより早めに家を出た。

未花の家に向かうためだ。


「未花…」


鞄にはしっかりとキーホルダーがついている。

未花が家を出るにはまだまだ時間があるし、話すなら早いほうがいい。

未花が自分を避けているなら、家に押し掛ければいいのだ。


「我ながら単純…。これじゃまた蓮に…」


そこまで言って足を止める。

今は蓮と喧嘩中だった。

それを思い出したのだ。


(未花とのことが落ち着いたら、蓮とも仲直りしなくちゃ…)


そうこうしている内に、未花の家に到着した。

インターホンを押そうとすると、ちょうどゴミを出しに来た未花のお母さんが琴羽に気付いた。


「あら、琴ちゃんじゃないの!!」

「お久しぶりです」

「大きくなったわねぇ♪ 未花と違って美人になって…」


ふふふ、と笑う顔がどことなく未花に似ていて、琴羽もつられて笑った。


「でもどうしたの?未花なら早くに出てったわよ?」

「え?」

「てっきり琴ちゃんも一緒かと思ったけど…違ったのねぇ」


首を捻る未花の母親に、琴羽はそうですか…と返事をして、立ち去った。

別れ際に「またいつでもいらっしゃいね」と笑いかけてくれたのが嬉しかった。

未花の家族とはもうすっかり顔馴染みだ。

みんな優しくて琴羽はみんな好きだった。


「やっぱり私…避けられてるのかな…」


ため息をついていると携帯が鳴った。










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