俺様なアイツのしつけ方。

文化祭




「じゃあさっそく、迫る文化祭の出し物決めま〜す」


前に出た学級委員の生徒が、効率よく話を進めていく。

今日のHRは文化祭についての話し合い。

この学園にはお祭り好きが多いのか、ざわざわと楽しそうにそれぞれが相談を始める。

1年に1度だけ自分達の好きなことが出来るお祭りだ。

きっと個々の気合いも一段と高いに違いない。


「………」


…と、そんな中。

琴羽だけは近所と相談をするでもなく、隣の席へ視線を送り、小さくため息をついていた。

その席の主である蓮の姿がない。


「蓮の遅刻ももう日常生活だし…、まあいいんだけど」


…とは言うものの。

もう午後に突入しており、放課後が迫っていた。

ここまで蓮が来ないのは珍しい。

やたら気になる琴羽は、妙にそわそわして教室の扉を何回も確認していた。

いつその扉が開かれて、いつものようにダルそうな顔をした蓮が現れるのか気になって仕方がないのだ。


「夏野さん」


…と、ふいに声をかけられて慌てて視線を走らせると、心なしかクラス全体から注目を浴びていた。

その中の学級委員が首を傾げる。


「どうかな、夏野さん」

「へ、何が?」


全く話を聞いていなかった琴羽は、間抜けな声丸出しで問いかける。

学級委員は、にこにこと微笑みながら口を開いた。


「ほら、夏野さんって小宮君と仲いいじゃない?」

「いや、仲いいというか…」

「それで、小宮君をなんとか説得して欲しいなって…」

「説得?」








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