俺様なアイツのしつけ方。
蓮が欠席の理由は、放課後発覚した。
担任に職員室へ呼ばれた琴羽は、プリントの入った封筒を渡される。
「じゃあこれ頼むな」
「はあ…」
「住所はこれ。まあ、明らか高級そうなマンションだしすぐ分かるだろう」
メモ用紙も続けて渡されて、琴羽はようやく疑問を口にした。
「蓮なんで休みなんですか」
「あれ、お前知らんのか? 風邪引いたらしいぞ、小宮は」
「風邪?」
「あいつのことだ、雨の中でもふらふら出歩いてたんじゃないか」
なんてな、と笑う担任を見て、琴羽も苦笑する。
蓮なら十分有り得る。
「じゃあつまり、これを持ってくついでに様子見てこい的な感じですか」
「お、よく分かったな」
担任は、すでに机に向き直っており、仕事を片付けながら会話を続けた。
「まあ、独り暮らしらしいから俺も心配でな。さっきのHRでお前が一番仲良いってことも分かったし、そうやって頼んだわけよ」
「はあ…」
「じゃあ頼んだぞ、夏野」
ひらひらと手を振られ、琴羽は渋々頷くと職員室を後にした。