俺様なアイツのしつけ方。
「お邪魔します…」
蓮に続いて、部屋に上がった琴羽は辺りを見渡した。
彼の部屋は本当に最上階にあって、奥に進むと大きな窓が広がっていた。
そこからは街が一望出来る。
「本当にお坊っちゃまなんだ…」
窓に張り付いて景色を眺める。
きっと夜は夜景が綺麗なんだろうな、なんて思っていると蓮が珈琲を入れてきてくれた。
「あ、病人なのにごめんっ」
慌てて駆け寄ると、蓮は床に座りながら笑った。
「へぇ…、気遣ってんの?」
にやっと笑われて、顔を真っ赤にする琴羽。
「わ、私だって病人に気ぐらい遣うわよ!!」
蓮の正面に同じように座り込む。
蓮の入れてくれた珈琲を飲みながら、部屋を見回した。
「何もないね」
「そうか? 男子の部屋なんてこんなもんだろ」
蓮の部屋には、机とソファー…それに雑誌が床に数冊散らばっているだけだった。
「どこで寝てんの?」
「大体はソファー。まあ、あっちに寝室あるし」
「テレビは?」
「携帯のワンセグ使ってる」
琴羽の質問に淡々と答える蓮。
ふと、キッチンが視界に入った。
「ちゃんと食べてる?」
「あ?」
カップに口をつけていた蓮が、琴羽の視線に気付いて同じようにキッチンを見る。
琴羽は蓮に視線を戻した。
「料理するの?」
「まぁね。俺、出来ないことないし」
「あっそう」
風邪を引いてても相変わらずの俺様ぶりで、琴羽は呆れた。