俺様なアイツのしつけ方。


そこで、本来の用事を思い出す。


「そうだった!! あんた病人なんだから寝なさいよっ」

「は、何をいきなり…」


なんだこいつ、という視線を無視して琴羽は立ち上がる。

ソファーの上にかかっていた毛布に気付くと掴んで、問いかけた。


「さっきまでここで寝てたの?」

「あ? あぁ…まあ…」

「寝室行かないの?」

「面倒くさいし…」


そう言って大人しくソファーに横になる蓮を見て、実は相当しんどいのではないかと琴羽は反省する。

蓮に毛布をかけてやると、顔の側にしゃがみこむ。


「んだよ…」


気配に気付いて、蓮は一度閉じた瞼をうっすら開けた。


「辛いのに余裕で珈琲飲んでてごめんなさい」

「………」


ぺこり、と頭を下げる琴羽にきょとんとする。

しかし琴羽は、反省しているらしく顔に申し訳なさが見てとれた。




今考えれば、蓮の一番近くにいたのは自分なのだから様子の変化に気付くことが出来たはずだ。

なのに自分はいつも蓮に頼ってばかりで…。

今だってすぐに寝かせなければならないのに、無理して会話に付き合わせてしまった。




「ごめんなさい…」


泣き出しそうな琴羽に、蓮は苦笑して起き上がる。


「…何言ってるかと思えば。お前、相変わらずの馬鹿だな」

「は?! だから馬鹿じゃ…、…っ!?」


むっとして顔を上げた琴羽は、気付かないうちに蓮の顔が近くにあって息を呑んだ。

じっと見つめられ、蓮の手が伸びてくる。


(え、なに…っ)


ドキドキしてぎゅっ、と瞳を閉じる。

…しかし。


━━ぶにっ


「へ?」


目を開ける。

…と、蓮に思いきり鼻をつままれていた。









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