俺様なアイツのしつけ方。
「…痛い」
「わりぃわりぃ、あまりにも不細工な顔してたから」
琴羽の鼻から手を離し、ひらひら手を振る。
「はぁ!?」
大声を出す琴羽に、蓮は笑った。
「ぶっ…!!あっはは、お前まぢ飽きないわ」
急に笑いだした蓮に、胸が苦しくなって無意識に胸を押さえる。
顔が熱くなって、慌てて立ち上がるとキッチンへ向かった。
「な、なんか作るから寝ててっ」
「は? お前作れ…」
「いいから!!」
「お、おぅ」
迫力負けした蓮は、再び大人しく横になる。
ぼ-っと天井を見上げながら、思い出すのは先ほどの琴羽の表情。
その表情を見た瞬間、気付いたら体が勝手に動いていて…。
「あっぶね-…」
右腕を目の上に被せて、小さく呟く。
きっと風邪のせいだ。
だからおかしくなってる。
……キスしようとしただなんて。
「あれ-…えっとこれを…」
キッチンから聞こえてくる声にかすかに微笑むと、そっと目を閉じる。
普通な家庭とは、かけ離れた生活を送ってきた蓮にはキッチンから聞こえてくる騒がしさが妙に心地よかった。