俺様なアイツのしつけ方。
しばらくして元気になった蓮が再び登校してきた。
「おはよ-、琴ちゃん」
「おはよ、琴羽」
教室に入ってきた琴羽に、比奈と優が近付いてくる。
「おはよ-」
挨拶を返しながら、琴羽が席につくと2人もついてくる。
「だんだん学校も文化祭っぽくなってきたね」
上機嫌で比奈が口を開く。
確かに。
琴羽が教室に来るまでにも、至るところで準備を進める生徒が目に入った。
「楽しみだなあ…」
「比奈こ-ゆ-の好きだもんね」
「うんっ!! 騒ぐの好きぃ」
よしよし、と優が比奈の頭を撫でる。
それを眺めていると、ガラッと扉が開いて相変わらず眠そうな蓮が姿を現した。
女子の間で嬉しそうな声が上がる。
「あ、小宮君だ」
比奈も気付いて顔を向ける。
「アイツ風邪引いてたらしいよ、琴羽知ってた?」
優も蓮を見ながら、言葉だけで問いかける。
「え!?…あ、うんっ…先生にプリントとか頼まれて持ってったから…」
「……ふ-ん?」
「な、なによ…」
比奈は蓮に釘付けで2人の会話に気付いていないが、優は座っている琴羽を見下ろして意味深に笑った。
琴羽が言葉に詰まっていると、ガタッと蓮が隣の自分の席につく。
「おはよ-、小宮君」
「……あ-、うん」
比奈がふわりと微笑んで挨拶しているにも関わらず、蓮は目も合わせずぶっきら棒に答える。
うちの比奈になんてことを、と琴羽は体ごと蓮に向き直った。