俺様なアイツのしつけ方。
「ちょっと」
「あ?」
いきなり体を向けられた上に声をかけられて、蓮は面倒臭そうに琴羽を見た。
「うちの比奈がアンタみたいな奴にも挨拶してんだから、しっかり挨拶返しなさいよ」
「命令すんな。後、その“アンタみたいな奴”ってなんだ、馬鹿琴羽」
「ば、馬鹿?!…あのねぇ、これは人としての決まりごとなのっ!! アンタ自分の家のルール守るんならしっかり常識守りなさいよ」
「…ちっ」
かっち-ん。
蓮の舌打ちに、琴羽は頭の中で何かの切れる音がした気がした。
ばんっ、と机を叩く。
「その舌打ち!!」
「はぁ…まだなんかあんのかよ」
はぁ…とため息をついて椅子にもたれ掛かる。
「舌打ちやめて」
「あ?」
「俺様なオーラもやめて」
「あのな…」
「アンタはまず人として生まれ変われ!!」
「このやろ…っ」
「ふん」
つん、とそっぽを向く琴羽に今度は蓮が黙っていなかった。
「おい馬鹿女」
「琴羽ですけど」
「てめぇな、そんなに大口叩くならそのイカれた頭どうにかしろ」
「はぁ?!」
「毎回お前の馬鹿な行動に付き合わされるこっちの身にもなれっつ-の」
「私だって毎回アンタに振り回されてますけどね!!」
「んだと?」
「はいっ、そこまで」
次第に言い合いになっていく2人に、優が待ったをかける。
比奈もおろおろと優にしがみついていた。