シンデレラは何ルート?《王子or魔法使い》
「用意したわ。」
「よし。じゃあ…」
そう言ってアルファはまた何か呪文のようなものを唱え始めた。
カッ
部屋中がふたたび光に包まれ、見てみると
かぼちゃは立派な馬車に
灰色ネズミは運転手に
ハツカネズミは立派な馬車に
ボサボサだった髪の毛は綺麗にまとめられていた。
「これは僕からのサービス。」
アルファはニコッと笑って
美しいガラスの靴を私に差し出した。
「素敵…!ありがとう、アルファ…!」
目を潤ませながらお礼を言う私に
「ちょ、こらこら。
これから舞踏会へ行くっていうのに、泣くなんてだめだめ!」
アルファは笑いながら言った。
「この魔法は12時になると解けてしまうんだ。だからそれまでには必ず帰ってくるように。わかったね?」
「ええ。」
「よし。じゃあもうお行きなさい。
舞踏会が始まってしまうよ。」
頷き、馬車に乗ろうとすると
「シンデレラ」
と少し低めの声で呼ばれた。
「な、何?」
と、戸惑いながら応えた。
するとアルファは
微笑みながら私に
「とても、綺麗だよ。」
と言った。
「~~っ!!?」
みるみる顔が熱くなっていくのがわかる。
思ってもいなかったことを言われ、
私は恥ずかしくなりすぐに馬車に乗り込んだ。
パシン
運転手のムチの叩く音と共に馬車は城へと出発した。
走る馬車の窓から、まだ熱い顔を出して
「アルファー!ありがとうー!
いつかまた、会いましょうねー!」
と、手を降った。
アルファの姿が見えなくなり、私はふと先ほどの言葉を思い出した。
『綺麗だよ。』
冷めたと思った顔が、また熱くなる。
「だめだめ!私は今から王子様に会いに行くんだから!」
と、言いながらもやはりアルファの言葉に喜んでいる私がいる。
____でも、気になることがひとつ。
なぜ、アルファはその時あんなにも
“切ない顔”をしていたの______?